サントリーリザーブのボトルとインク

 その昔は、多くのデパートの万年筆売り場でモンブランの万年筆が売られていた。ショーケースの上にはモンブランのロゴが刻印されている真鍮のキャップが付いたクリスタルガラスのインクボトルが置かれていた。とても透明感のある魅力的…

友人の死

 郵便受けに手紙を取りに行く。差出人を確認する。見覚えのある住所。見覚えのある名字。しかし、名字の下の名前に心当たりがない。よく見れば筆跡にも心当たりがない。その瞬間、私の心は凍り付く。 このような別れを今まで何度経験し…

詩人とウィスキー

 萬年筆くらぶ会員の冨澤文明さんは詩人である。「十八歳の時から詩に憑かれ、詩の営為を唯一の生き方途と信じ、そこにすべての自己証明を賭して生きてきた」と、冨澤さんの著書『夏の栞』(七月堂 一九八三年)のあとがきにある。 詩…

裸婦のシール(seal)

 手紙を書く。受け取る人を思い浮かべながら語りかける。出会った人とのコミュニケーションの時間だ。便箋をたたみ封筒に入れる。糊付けして、シール(seal)とシーリングワックス(sealing wax)を取り出す。アルコール…

クリスタルタンブラー(追記)

 『クリスタルタンブラー』を読んだ読者から次のような手紙をもらった。  <読んで安心しました。でべそさんが、頬を伝わる哀しみの涙で切手を貼っておられるのではないかと心配していたからです。>  ああ、そのような夜もあったか…

クリスタルタンブラー

 私は、深夜、ウィスキーをロックでチビチビと舐めながら本を読んだり、手紙を書いたりするのを楽しみとしている。そのゆったりと流れる時を共に過ごすパートナーとして万年筆が重要な存在となっているのだが、机上にお気に入りのタンブ…

切手携帯ケース

 旧国鉄のことをJRと呼べるようになるまで十年位かかった。私はJRになっても、国鉄と呼び続けた。民営化には賛成できなかったからだ。しかし、何時しか国鉄では通じなくなり、仕方なくJRと呼ぶことなってしまった。 福知山線の事…

レターラック

 私は年間、約1000枚の葉書を書く。1日平均3枚ということになる。毎日書くわけではない。1日1枚という日もあれば、まとめて5~6枚という日もある。記念切手を貼りたいので官製葉書は使わない。 文具店に入ると、必ずカードを…

葉書スタンド

 旅先の友人から素敵な絵葉書を貰うことがある。万年筆のインクが鮮やかだ。この風景の中で、ゆっくりと流れる時間に身を任せているのだろうと、暫し写真を眺める。友人のことだ、今頃、美味しい酒でも飲みながら、一日の終わりのひと時…

ライティングボックス

 IRENE FROM MOTHER ON HER BIRTHDAY  NOV.8TH.1915.と刻印がある。縦23センチ、横34センチ、高さ15センチのライティングボックス。箱の中にはレターセットや筆記具・インク瓶を…