サントリーリザーブのボトルとインク

 その昔は、多くのデパートの万年筆売り場でモンブランの万年筆が売られていた。ショーケースの上にはモンブランのロゴが刻印されている真鍮のキャップが付いたクリスタルガラスのインクボトルが置かれていた。とても透明感のある魅力的…

佐伯祐三展

 東京ステーションギャラリーで開催された佐伯祐三展に、私は2度、足を運んだ。 1度目は全作品の説明文をしっかりと読みながら、1点1点をじっくり観て回った。何年も、このときを待っていた。初めて観る佐伯の原画に圧倒されながら…

ガシガシトレドの冨樫さん

 外でスケッチをしていると目に見えるもの全てを描きたくなる。海外でのスケッチの場合は尚のことで、目の前の感動的な風景を全て持って帰りたくなり、あれもこれもと一枚の紙の中に詰め込んでしまう。 画家の古山さんに「詰め込み過ぎ…

fuenteという奇跡

 私は萬年筆くらぶという万年筆愛好家が集う会を主宰している。くらぶでは『fuente』という会報誌を年3冊発行しており、毎号、万年筆愛に満ちた文章が会員から投稿されている。 書籍『fuente』を楽しむ。それは文字通り『…

ペリカン500

 机の引き出しの奥からペリカン500の茶縞が出てきた。こんな所に仕舞ってあったのかと30数年振りの再会に驚いた。 当時、ペリカンの万年筆には500、600、800の3種類があった。500は1940年代の400の復刻版で、…

手書きへの回帰

 30歳少し前から私はパソコンに夢中になっていた。NECのPC8801mkⅡ。その上位機種に9801mkⅡというのがあったが、とても高価で買えなかった。8801mkⅡですら高価なものだった。電気店の入口にはパソコンが広範…

裏紙愛好会

 実は、私は「裏紙愛好会」の会長を長いこと務めている。裏紙愛好会というのは、資源の問題や環境の問題に触れることもあるが、根底には、裏紙に「儚さ」や「侘しさ」を感じ、愛おしくて捨てることができない人間の感情を扱う会である。…

ハマスホイの絵画と『fuente』

 ハマスホイ展に行った。入場して最初に目にした、都立美術館が設置したパネルに釘付けになった。 「急いで語らなければならないような芸術家ではありません」 この言い回し、持ち上げるのかと思いきや、落とす。来館者にいきなり否定…

ふでDEまんねん スケルトン

 「作ってみました。使ってやってください」との簡単なメモが添えられていた。箱の中から出てきたのは透明軸のふでDEまんねんだった。 エッ! エッ?! エー!! 透明軸のふでDEまんねんスケルトンを手にして、私は驚きの声をあ…

萬年筆くらぶ

 万年筆の魅力に取り付かれた人たちがいます。ある人は一本の万年筆を何十年間も使い続け、その魅力を語り始めると一時間でも二時間でも続きます。ある人は一本購入すると、すぐ新しい万年筆が気になり出し気が付いたら机の上は万年筆だ…