裏紙愛好会

 実は、私は「裏紙愛好会」の会長を長いこと務めている。裏紙愛好会というのは、資源の問題や環境の問題に触れることもあるが、根底には、裏紙に「儚さ」や「侘しさ」を感じ、愛おしくて捨てることができない人間の感情を扱う会である。…

裸婦のシール(seal)

 手紙を書く。受け取る人を思い浮かべながら語りかける。出会った人とのコミュニケーションの時間だ。便箋をたたみ封筒に入れる。糊付けして、シール(seal)とシーリングワックス(sealing wax)を取り出す。アルコール…

カードスタンド

 1880年頃のイギリスのものだと、私がよく遊びに行くアンティークショップの店主は言う。 子犬を胸に抱き、壁際に佇む婦人。幅7センチ、高さ9センチ。ブロンズの重みが掌で心地よい。壁と婦人とでは金属の成分が微妙に異なってい…

レターラック

 私は年間、約1000枚の葉書を書く。1日平均3枚ということになる。毎日書くわけではない。1日1枚という日もあれば、まとめて5~6枚という日もある。記念切手を貼りたいので官製葉書は使わない。 文具店に入ると、必ずカードを…

葉書スタンド

 旅先の友人から素敵な絵葉書を貰うことがある。万年筆のインクが鮮やかだ。この風景の中で、ゆっくりと流れる時間に身を任せているのだろうと、暫し写真を眺める。友人のことだ、今頃、美味しい酒でも飲みながら、一日の終わりのひと時…

ライティングボックス

 IRENE FROM MOTHER ON HER BIRTHDAY  NOV.8TH.1915.と刻印がある。縦23センチ、横34センチ、高さ15センチのライティングボックス。箱の中にはレターセットや筆記具・インク瓶を…

満点の星空色のインク

 『ミッドナイトブルーのインク』を読まれたKさんから、このような手紙をもらった。  「あの空はもう一度見たい。あの空を見るためだけにスペインに行くのもいい。」 私はスペインに行った事は無いので想像する事すらできないのです…

ミッドナイトブルーのインク

 まだ暗闇の濃い早朝、散歩に出掛ける。 星の瞬きが見える。 静粛が身体を包む。 時折、小鳥のさえずりが聞こえる。 しかし、まだ暗くて鳥たちは飛び立つことはできない。 冷たい風を頬に感じる。この風が気持ちいい。  2019…