手書きへの回帰

 30歳少し前から私はパソコンに夢中になっていた。NECのPC8801mkⅡ。その上位機種に9801mkⅡというのがあったが、とても高価で買えなかった。8801mkⅡですら高価なものだった。電気店の入口にはパソコンが広範…

ハマスホイの絵画と『fuente』

 ハマスホイ展に行った。入場して最初に目にした、都立美術館が設置したパネルに釘付けになった。 「急いで語らなければならないような芸術家ではありません」 この言い回し、持ち上げるのかと思いきや、落とす。来館者にいきなり否定…

ふでDEまんねん スケルトン

 「作ってみました。使ってやってください」との簡単なメモが添えられていた。箱の中から出てきたのは透明軸のふでDEまんねんだった。 エッ! エッ?! エー!! 透明軸のふでDEまんねんスケルトンを手にして、私は驚きの声をあ…

萬年筆くらぶ

 万年筆の魅力に取り付かれた人たちがいます。ある人は一本の万年筆を何十年間も使い続け、その魅力を語り始めると一時間でも二時間でも続きます。ある人は一本購入すると、すぐ新しい万年筆が気になり出し気が付いたら机の上は万年筆だ…

詩人とウィスキー

 萬年筆くらぶ会員の冨澤文明さんは詩人である。「十八歳の時から詩に憑かれ、詩の営為を唯一の生き方途と信じ、そこにすべての自己証明を賭して生きてきた」と、冨澤さんの著書『夏の栞』(七月堂 一九八三年)のあとがきにある。 詩…